システム開発プロジェクトを成功させるためには、「開発規模」の把握が不可欠です。
しかし、「開発規模」という言葉は、文脈によって意味合いが異なります。
正しく理解している人は少ないかもしれません。
今回の記事では、システム開発における「開発規模」について、
- その種類
- 計測方法
- プロジェクトに与える影響
などを解説します。
目次
開発規模とは?
開発規模とは、システム開発プロジェクトの規模を示す指標です。
規模の大小は、
- 開発に必要な期間
- 費用
- 人員
- 技術
- リスク
などに大きな影響を与えます。
開発規模の種類
開発規模は、様々な側面から捉えることができます。
機能規模
機能規模は、システムが提供する機能の数や複雑さによって測られます。
機能が多いほど、また複雑な機能を持つほど、開発規模は大きくなります。
特徴
- ユーザーにとって分かりやすい指標
- 見積もりや計画策定に役立ちます
- 機能追加や変更による規模の変化を把握しやすい
計測方法
- ユーザー要件を分析し、機能一覧を作成します
- 各機能の複雑さを評価し、点数化します
- 機能点数の合計を算出します
データ規模
データ規模は、システムが扱うデータの量や種類によって測られます。
データ量が多いほど、また多様な種類のデータを扱うほど、開発規模は大きくなります。
特徴
- データ量が多いほど、ストレージや処理能力が必要になります
- データ構造が複雑なほど、設計や開発が難しくなります
- データ移行や管理のコストも考慮する必要があります
計測方法
- システムで扱うデータの種類や量を洗い出します
- 各データの量を計測します
- データ構造の複雑さを評価します
技術規模
技術規模は、システムで使用する技術の数や難易度によって測られます。
使用する技術が多いほど、また高度な技術を必要とするほど、開発規模は大きくなります。
特徴
- 新しい技術や高度な技術を使うほど、開発者のスキルが必要になります
- 技術的な課題やリスクが増える可能性があります
- 技術選定や検証に時間がかかります
計測方法
- システムで使用する技術をリストアップします
- 各技術の難易度や習得に必要な期間を評価します
- 技術的なリスクを洗い出します
人員規模
人員規模は、プロジェクトに関わる人員の数やスキルによって測られます。
人員が多いほど、また高度なスキルを持つ人員が必要なほど、開発規模は大きくなります。
特徴
- 人員が多いほど、コミュニケーションや管理が重要になります
- スキルが高い人員ほど、人件費が高くなります
- チームワークや役割分担が重要になります
計測方法
- プロジェクトに必要な人員数を洗い出します
- 各人員に求められるスキルレベルを定義します
- 人件費を算出します
期間規模
期間規模は、プロジェクトの開始から完了までの期間によって測られます。
期間が長いほど、開発規模は大きくなります。
特徴
- 期間が長いほど、様々なリスクが発生する可能性があります
- 期間内に目標を達成するために、計画的な管理が必要になります
- 期間短縮のために、効率的な開発手法やツールを導入する必要があります
計測方法
- プロジェクトの開始日と完了予定日を設定します
- 各タスクに必要な期間を見積もります
- マイルストーンを設定し、進捗状況を管理します
費用規模
費用規模は、プロジェクトに投じる費用によって測られます。
費用が多いほど、開発規模は大きくなります。
特徴
- 費用対効果を考慮する必要があります
- 予算内で開発を完了させるために、コスト管理が重要になります
- 費用削減のために、無駄なコストを削減する必要があります
計測方法
- 人件費、材料費、外注費など、必要な費用を洗い出します
- 各費用の金額を見積もります
- 費用の内訳を明確にします
開発規模の計測方法
システム開発における開発規模の計測方法は、プロジェクトの特性や目的に応じて様々なものがあります。
ここでは、
- 代表的な計測方法
- その特徴
- 具体的な手順
などをわかりやすく解説します。
ファンクションポイント法 (FP法)
ファンクションポイント法は、システムの機能を「ファンクション」と呼ばれる単位に分解します。
それぞれの複雑さを評価することで規模を計測する方法です。
特徴
- 機能規模を客観的に計測できる
- 開発初期段階から規模を把握できる
- 見積もりや計画策定に役立つ
計測手順
- ユーザー要件の分析: ユーザーからの要望を分析し、システムが提供する機能を明確にする。
- ファンクションの識別: 機能を「外部入力」「外部出力」「外部照会」「内部論理ファイル」「インターフェースファイル」の5種類に分類する。
- 複雑さの評価: 各ファンクションの複雑さを「単純」「普通」「複雑」の3段階で評価する。
- ファンクションポイントの算出: 各ファンクションに割り当てられた点数を合計し、システムの規模をファンクションポイントとして算出する。
LOC法 (Lines of Code)
LOC法は、システムのコード行数を計測することで規模を計測する方法です。
特徴
- コード量という分かりやすい指標で規模を把握できる
- 開発工数や費用を推定しやすい
計測手順
- コードの作成: システムのコードを作成する。
- コード行数の計測: 作成したコードの行数を計測する。
- 規模の算出: 計測したコード行数をシステムの規模とする。
人月法
人月法は、開発に投入する人員と期間を掛け合わせることで規模を計測する方法です。
特徴
- 開発に必要な工数を把握できる
- 費用やスケジュール管理に役立つ
計測手順
- 人員計画: プロジェクトに必要な人員数と各人員のスキルレベルを決定する。
- 期間計画: プロジェクトの開始から完了までの期間を設定する。
- 規模の算出: 人員数と期間を掛け合わせ、人月単位で規模を算出する。
その他
上記以外にも、様々な計測方法があります。
- ストーリーポイント法: アジャイル開発で用いられる、ユーザーーストーリーの規模をポイントで評価する方法。
- COSMIC法: ソフトウェアの機能規模をデータ移動の数で測定する方法。
どの計測方法を選ぶべきか?
どの計測方法を選ぶべきかは、プロジェクトの特性や目的に応じて異なります。
- 大規模開発: ファンクションポイント法や人月法が適している。
- 小規模開発: LOC法やストーリーポイント法が適している。
- アジャイル開発: ストーリーポイント法が適している。
計測時の注意点
- 計測単位を統一する: 複数の計測方法を併用する場合は、それぞれの単位を統一する。
- 計測時期を明確にする: 規模は開発段階によって変化するため、計測時期を明確にする。
- 過去のデータや類似プロジェクトを参考にする: 過去のデータや類似プロジェクトの規模を参考にすることで、より精度の高い計測が可能になる。
開発規模がプロジェクトに与える影響
開発規模は、プロジェクトの様々な側面に影響を与えます。
費用
規模が大きいほど、費用も高くなる傾向があります。
期間
規模が大きいほど、期間も長くなる傾向があります。
人員
規模が大きいほど、必要な人員も増えます。
技術
規模が大きいほど、高度な技術が必要になる場合があります。
リスク
規模が大きいほど、リスクも高くなる傾向があります。
開発規模に応じた開発体制
開発規模に応じて、適切な開発体制を構築することが重要です。
大規模開発
複数のチームで開発
プロジェクトマネージャーによる管理
厳格な品質管理体制
小規模開発
少人数で開発
アジャイル開発
柔軟な体制
開発規模は、システム開発プロジェクトの成否を左右する重要な要素です。
開発規模を正しく理解しましょう。
適切な計画と体制を構築することで、プロジェクトを成功に導くことができます。
弊社では、規模を問わず対応しております。
まだ具体的に何をやればいいのかはっきりしない。
こんな状況の方には、要件定義から対応しております。
お気軽にご相談ください。
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