ECサイト運営者のための3Dセキュア登録・導入ガイド|不正利用対策・義務化対応

2025年4月24日更新(2025年4月24日公開)

ECサイト運営者のための3Dセキュア登録・導入ガイド|不正利用対策・義務化対応

ECサイトを運営する上で、年々増加するクレジットカードの不正利用は深刻な課題です。

不正注文による商品の発送損害に加え、いわゆる「チャージバック」によって売上を取り消され、二重の損害を被るリスクに頭を悩ませている事業者の方も多いのではないでしょうか。

このような状況の中、ECサイトにおけるクレジットカード決済の安全性を高めるための有効な手段として、「3Dセキュア(本人認証サービス)」の導入が強く推奨されています。

特に、進化版である「EMV 3-Dセキュア(3Dセキュア2.0)」は、2025年3月末までに原則導入が義務化されることも決定しており、もはや避けて通れない対策となっています。

この記事では、ECサイト運営者の皆様に向けて、

  • 3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア)とは何かという基本
  • 具体的な登録・導入方法
  • 導入によるメリット・デメリット
  • 不正利用対策としての有効性

までを分かりやすく解説します。

安心・安全なECサイト運営のために、ぜひ最後までご一読ください。

3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア)とは? ECサイトになぜ必要か

3Dセキュアとは、インターネット上でのクレジットカード決済において、カード情報に加えて本人認証を行うことで不正利用を防ぐサービスです。

国際カードブランド(Visa, Mastercard, JCB, American Express, Diners Club)が推奨しており、「Visa Secure(旧 Verified by Visa)」、「Mastercard ID Check(旧 Mastercard SecureCode)」、「J/Secure」など、ブランドごとに名称が異なります。

そして現在主流となっているのが、EMV 3-Dセキュア(3Dセキュア2.0)です。

従来のパスワード方式中心の3Dセキュア1.0と比較し、

デバイス情報

発送先情報

など様々なデータに基づきリスクを評価する「リスクベース認証」が採用されています。

リスクが低いと判断された取引では追加認証が不要となります。

ユーザーの離脱を防ぎつつ、より高度なセキュリティを実現しています。

リスクが高いと判断された場合にのみ、ワンタイムパスワードや生体認証などによる追加認証が求められます。

ECサイトにとって3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア)の導入が不可欠な理由は以下の通りです。

不正利用・チャージバックリスクの軽減

盗まれたカード情報を使った「なりすまし」による不正注文を未然に防ぐ効果が期待できます。

万が一、3Dセキュアによる本人認証を経て決済が行われた取引で不正利用が発生した場合。

原則としてチャージバックによる損害はカード会社が負担します。

加盟店側のリスクを大幅に軽減できます。

2025年3月末までの導入義務化

経済産業省が推進する「クレジットカード・セキュリティガイドライン」により、ECサイトを含む特定の事業者はEMV 3-Dセキュアの導入が義務付けられています。

義務化に対応しない場合。

チャージバック時の保護が得られない、カード会社との契約に影響が出るなどのリスクがあります。

顧客からの信頼獲得

セキュリティ対策をしっかりと行っているサイトとして、ユーザーに安心感を提供し、購入意欲の向上につながります。

3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア)の導入フロー全体像

ECサイトに3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア)を導入する際の一般的なフローは以下のようになります。

  1. 利用中の決済代行会社への確認・問い合わせ: 契約している、または契約を検討している決済代行会社がEMV 3-Dセキュアに対応しているか、どのようなプランやオプションがあるかを確認します。多くの決済代行会社では標準機能として提供されていますが、申し込みや設定が必要な場合があります。
  2. 申し込み・契約手続き: 決済代行会社所定の手続きに沿って、3Dセキュア利用の申し込みを行います。
  3. システム設定・連携: ECサイトのシステムと決済代行会社のシステムを連携させるための設定を行います。お使いのカートシステムやサイトの構築方法(ASP、オープンソース、フルスクラッチなど)によって作業内容は異なります。多くの場合、決済代行会社から提供されるAPIを利用するか、カートシステムの管理画面で設定を有効化します。
  4. テスト: 本番環境に適用する前に、テスト環境で3Dセキュア認証が正常に動作するか、ユーザーフローに問題がないかなどを十分にテストします。
  5. 本番環境への適用・運用開始: テスト完了後、本番環境に設定を反映し、運用を開始します。
  6. 顧客への周知: 3Dセキュア導入により決済フローが変わる可能性があるため、購入時の画面などで顧客に分かりやすく説明することが望ましいです。

主要な決済代行会社ごとの導入のポイント

3Dセキュアの具体的な登録・設定方法は、利用する決済代行会社によって異なります。

主要な決済代行会社での導入に関する一般的なポイントを以下に示します。

GMOペイメントゲートウェイ

  • 管理画面上での設定
  • 必要に応じてAPI連携の設定

を行います。

EMV 3-Dセキュアに対応した様々な決済手段を提供しています。

SBペイメントサービス

EMV 3-Dセキュアに対応しており、不正対策ソリューションの一つとして提供されています。

導入に関する詳細は問い合わせが必要です。

ペイジェント

3Dセキュア2.0に対応しており、不正検知サービスなどと合わせて提供されることが多いです。

連携方法についてはドキュメントやサポートを確認します。

イプシロン

標準機能として3Dセキュア認証支援サービス(EMV 3-Dセキュア対応)を提供しています。

  • 管理画面での設定
  • 必要に応じてシステム連携

を行います。チャージバック保証サービスなども提供しています。

その他

  • Stripe
  • VeriTrans
  • ゼウス

など、多くの決済代行会社がEMV 3-Dセキュアに対応しています。

【重要な注意点

具体的な設定手順や必要な情報は、各決済代行会社の管理画面仕様や提供されるドキュメント、サポートによって異なります。

必ずご利用、またはご利用を検討している決済代行会社の公式サイトや担当者に直接お問い合わせいただき、最新かつ正確な情報をご確認ください。

カードブランドごとの3Dセキュア名称

EMV 3-Dセキュアは、国際カードブランドが提供する共通規格に基づいています。

それぞれのブランドでサービス名称が異なります。

  • Visa: Visa Secure (旧 Verified by Visa)
  • Mastercard: Mastercard ID Check (旧 Mastercard SecureCode)
  • JCB: J/Secure
  • American Express: American Express SafeKey
  • Diners Club: Diners Club International ProtectBuy

これらのブランドに対応している決済代行会社を選ぶことで、主要なクレジットカード利用者の大部分に対して3Dセキュアを提供することが可能になります。

3Dセキュア導入のメリット・デメリット

メリット

  • 不正利用・チャージバックリスクの大幅な軽減: 不正対策として最も直接的かつ強力な手段の一つです。
  • セキュリティ強化による信頼性向上: 顧客に安全なサイトであることをアピールできます。
  • コンバージョン率への悪影響を抑制(EMV 3-Dセキュア2.0の場合): リスクベース認証により、不要な追加認証を減らし、カゴ落ちのリスクを低減します。

デメリット

  • 導入の手間とコスト: 決済代行会社によっては初期費用や月額費用が発生する場合があり、システム改修が必要な場合は開発コストがかかる可能性があります。
  • ユーザー離脱の可能性: EMV 3-Dセキュア2.0では改善されていますが、追加認証が必要な場合にユーザーが手続きを煩わしく感じ、購入を断念する可能性がゼロではありません。
  • 全てのカードに対応しているわけではない: 一部のカードやカード利用者の登録状況によっては3Dセキュアが利用できない場合があります。

3Dセキュアだけでは不十分?さらなる不正対策

3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア)は強力な不正対策です。

しかし、これだけで全ての不正利用を防げるわけではありません。

例えば、クレジットカード情報が漏洩していなくても、ID/パスワードリスト攻撃などによって会員アカウントが乗っ取られ、登録されたカード情報で不正利用されるケースなどには対応できません。

より強固なセキュリティ体制を構築するためには、3Dセキュアに加えて以下の対策を検討することをおすすめします。

不正検知システムの導入

過去の不正利用データや様々なリスク要素に基づいて取引の不正リスクを判定します。

怪しい注文に対しては

  • 自動キャンセル
  • 保留
  • 目視審査

を行うシステムです。

3Dセキュアと併用することで、多角的な不正対策が可能になります。

セキュリティコード認証

クレジットカード裏面(または表面)に印字された3桁または4桁の番号を入力させることで、カード情報の保有者であることを確認する簡易的な認証です。

配送先情報の確認

不審な配送先住所(私書箱、転送サービスなど)からの注文をチェックします。

多要素認証の導入

ECサイトの会員ログイン時に、パスワードだけでなく別の認証要素(SMS認証など)を組み合わせることで、アカウント乗っ取りのリスクを低減します。

3Dセキュア導入に関するよくある質問(FAQ)

Q: 3Dセキュアの導入に費用はかかりますか?

A: 決済代行会社によって異なります。

標準機能として提供される場合や、オプションとして別途費用が発生する場合があります。

ご利用の決済代行会社にご確認ください。

Q: すべてのクレジットカードに対応していますか?

A: 国際カードブランド(Visa, Mastercard, JCB, Amex, Diners)が発行する、3Dセキュアに対応したカードで利用可能です。

一部のカードや提携カードなど、対応していない場合もあります。

Q: ユーザーが3Dセキュアに登録していない場合はどうなりますか?

A: 決済代行会社や設定によりますが、EMV 3-Dセキュア2.0ではリスクベース認証により追加認証が不要となる場合が多いです。

ただし、カード会社によっては3Dセキュア登録を必須としている場合や、非対応カードでは決済できない場合もあります。

Q: モバイルからの利用にも対応していますか?

A: はい、EMV 3-Dセキュア2.0はスマートフォンなどのモバイルデバイスからの利用にも対応しており、アプリ内決済などでもスムーズな認証が可能です。

ECサイトにおける不正利用対策は、事業継続のために避けては通れない課題です。特に2025年3月末までにEMV 3-Dセキュアの導入が義務化されることを踏まえると、早期の対応が不可欠と言えます。

3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア)を導入することで、不正利用やチャージバックのリスクを効果的に抑制します。

ユーザーに安心して買い物をしてもらえる環境を構築できます。

導入方法については、まずは現在ご利用中、または導入を検討している決済代行会社に相談し、具体的な手続きやシステム連携について確認を進めましょう。

この記事が、ECサイト運営者の皆様の3Dセキュア導入の一助となれば幸いです。

不正対策を強化し、顧客に信頼されるECサイト運営を目指しましょう。

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