
インターネットを利用して様々なWebサイトやサービスにログインする際、「セッション」という仕組みが使われています。
このセッションを悪意のある第三者が乗っ取る行為が「セッションハイジャック」です。
セッションハイジャックの被害に遭うと、あなたの個人情報が漏洩したり、アカウントを悪用されたりする可能性があります。
しかし、
「セッションハイジャックとは具体的にどんなものか分からない」
「どうすれば防げるのか知りたい」
という方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、
セッションハイジャックの基本的な仕組み
攻撃者が使う具体的な手口
実際に発生した被害事例
そして利用者側・サービス提供者側それぞれが取るべき効果的な対策
までを初心者にも分かりやすく解説します。
この記事を読んで、セッションハイジャックの脅威からあなた自身やあなたのサービスを守るための一歩を踏み出しましょう。
目次
セッションハイジャックとは?Webサービス利用の隠れた危険性
インターネット上でWebサービスを利用する際、ログイン状態を維持したり、ショッピングカートの中身を保持したりするために「セッション」という仕組みが利用されています。
例えば、一度ログインすれば、ページを移動してもログアウトされないのはセッションのおかげです。
セッションハイジャックとは、この正当なセッションを悪意のある第三者が乗っ取り、ユーザー本人になりすましてサービスを不正に利用するサイバー攻撃です。
攻撃者はセッションを乗っ取ることで、そのユーザーがアクセスできる情報に自由にアクセスしたり、勝手に操作を行ったりすることが可能になります。
セッション管理の仕組み
セッション管理は、主に以下の要素を組み合わせて行われます。
セッションID
ユーザーを識別するためにサーバーが発行する一意の文字列です。
このセッションIDが、ユーザーのブラウザ(主にCookie)に保存され、その後の通信でサーバーに送られることで、ユーザーとサーバーの間で同じセッションが維持されます。
Cookie
ブラウザに一時的に情報を保存する仕組みです。
セッションIDは主にCookieに保存されます。
サーバー側の情報
サーバーはセッションIDと紐付けて、そのユーザーのログイン状態やカート情報などを管理しています。
セッションハイジャックは、この「セッションID」を何らかの方法で不正に入手し、利用することによって成立します。
攻撃者はどうやってセッションを乗っ取る?主な手口
セッションハイジャックにはいくつかの代表的な手口があります。
セッションIDの推測/生成
セッションIDが予測しやすい規則性を持っていたり、十分にランダムでなかったりする場合。
攻撃者はセッションIDを推測して正規ユーザーになりすまそうとします。
セッションIDの盗聴
ネットワーク盗聴
暗号化されていないHTTP通信を利用している場合。
通信経路上でセッションIDを含むデータを盗み見ることができます。
マルウェア
ユーザーのコンピュータにマルウェアを感染させ、ブラウザに保存されているCookie(セッションID)を窃取します。
クロスサイトスクリプティング (XSS) の利用
Webサイトに脆弱性(XSS脆弱性)がある場合。
攻撃者は悪意のあるスクリプトをサイトに埋め込み、そのサイトを訪れたユーザーのブラウザからセッションIDを盗み出すことができます。
セッション固定攻撃
攻撃者が事前に正規のセッションIDを生成しておき、何らかの方法(例: 悪意のあるリンクを踏ませる)でユーザーにそのセッションIDを使わせます。
ユーザーがそのセッションIDでログインすると、攻撃者はそのセッションIDを使って正規ユーザーとしてアクセスできるようになります。
Man-in-the-Middle (中間者) 攻撃
ユーザーとWebサーバーの間に攻撃者が割り込み、通信内容を傍受・改ざんします。この際にセッションIDを盗み取ることも可能です。
特に、公共のWi-Fiなどセキュリティが弱いネットワークで発生しやすいリスクです。
セッションハイジャックによる恐ろしい被害事例
セッションハイジャックが成功すると、以下のような深刻な被害が発生する可能性があります。
個人情報・機密情報の漏洩
ログインが必要な会員サイトなどから、
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
- クレジットカード情報
などの個人情報が盗み見られる。
金銭的被害
ネットバンキングやECサイトで不正送金や不正購入が行われる。
アカウントの不正利用
SNSで勝手に投稿されたり、サービスの設定を変更されたりする。
企業の信頼失墜・風評被害
サービス提供者側が被害を受けた場合。
利用者からの信用を失います。
事業継続に影響が出る。
Webサイトの改ざん
サービス管理者のセッションが乗っ取られた場合。
Webサイト自体が改ざんされる可能性もある。
セッションハイジャックから身を守る!具体的な対策
セッションハイジャックの脅威から身を守るためには、利用者側とサービス提供者側の双方が適切な対策を講じる必要があります。
【利用者側】今日からできるセッションハイジャック対策
HTTPS化されているか確認する: 重要な情報をやり取りするサイトでは、アドレスバーに鍵マークが表示され、「https://」から始まるURLであることを確認しましょう。HTTPSは通信を暗号化するため、盗聴のリスクを大幅に減らせます。
公共のWi-Fi利用には注意する: セキュリティ対策が不十分な公共のWi-Fiでは、通信内容を盗聴されやすいリスクがあります。重要な情報の送受信は避けるか、VPNを利用するなどの対策を推奨します。
安易に不審なリンクやファイルを開かない: これらはマルウェア感染やフィッシング詐欺につながり、セッションID窃取の原因となる可能性があります。
OSやブラウザ、セキュリティソフトを常に最新の状態に保つ: ソフトウェアの脆弱性を悪用した攻撃を防ぐために重要です。
二段階認証(多要素認証)を利用する: ログイン時にパスワードだけでなく、別の要素(例: スマートフォンへのSMS認証コード、認証アプリ)を要求する二段階認証を設定することで、セッションIDが漏洩しても不正ログインを防ぐ確率が高まります。
【サービス提供者側】開発・運用で必須のセッションハイジャック対策
Webサイト全体のHTTPS化: HTTP/2やHSTSなども含め、通信経路の常時SSL/TLS化はセッションハイジャック対策の基本中の基本です。
セッションIDの安全な管理:
推測困難なランダムな文字列を使用する: セッションIDの生成には、十分にエントロピーの高い、予測不可能な仕組みを使用します。
セッションIDの有効期限を短く設定する: 長時間同じセッションIDを使い続けると、攻撃者にIDを特定されるリスクが高まります。適切な有効期限を設定し、一定時間操作がない場合はセッションを終了させます。
ログイン成功後にセッションIDを再発行する: セッション固定攻撃を防ぐために、ログイン処理が成功した際に新しいセッションIDを生成し直します。
セッションIDをURLパラメータに含めない: URLにセッションIDを含めると、ブラウザの履歴やリファラ情報などから漏洩するリスクがあります。Cookieでの管理が推奨されます。
Cookieに「HttpOnly」属性と「Secure」属性を付与する:
HttpOnly
属性: JavaScriptなどからのCookieへのアクセスを制限し、XSSによるセッションID窃取を防ぎます。
Secure
属性: HTTPS接続の場合のみCookieを送信するように制限し、HTTP接続でのセッションID漏洩を防ぎます。
クロスサイトスクリプティング (XSS) 対策: 入力値の適切なサニタイジング(無害化)や出力時のエスケープ処理を徹底し、XSS脆弱性を排除します。
クロスサイトリクエストフォージェリ (CSRF) 対策: CSRFトークンの導入などにより、正規ユーザーのセッションを利用した不正なリクエストを防ぎます。
WAF (Web Application Firewall) の導入: Webアプリケーションへの攻撃を検知・遮断するWAFは、セッションハイジャックを含む様々な攻撃への有効な対策となります。
定期的なセキュリティ診断・脆弱性検査: 専門家による診断や自動ツールを使った検査で、自社サービスにセッションハイジャックにつながる脆弱性がないかを確認し、修正します。
セッションハイジャックは、私たちが日常的に利用しているWebサービスの安全性を脅かす深刻なリスクです。
しかし、その仕組みを理解し、適切な対策を講じることで、被害に遭う可能性を大幅に減らすことができます。
利用者としては、
HTTPSの確認や公共Wi-Fiの利用への注意
ソフトウェアの更新
二段階認証の利用
などが重要です。
サービス提供者としては、
- セッションIDの安全な管理
- HTTPS化
- 各種脆弱性対策
- WAF導入
などが不可欠です。
「セッションハイジャックとは?」という疑問が解消され、今すぐ取るべき対策が明確になったなら幸いです。
常にセキュリティ意識を持ち、安全なインターネット利用を心がけましょう。
読了ありがとうございました!
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