あなたは、ECサイト運営におけるセキュリティリスクの深刻さを認識されていることでしょう。
日々進化するサイバー攻撃の脅威は、ECサイトにとって事業継続を揺るがす大きな問題です。
一度セキュリティ事故が発生すれば、
- 顧客からの信頼失墜
- 損害賠償
- 事業停止
といった深刻な事態に発展する可能性があります。
しかし、適切な対策を講じることで、これらのリスクを大幅に低減することが可能です。
今回の記事では、ECサイトで実際に発生している
- セキュリティ事故の事例
- その主な原因
- 事故を防ぐために開発段階から講じるべき具体的な対策
について、システム開発専門の立場から詳しく解説します。
目次
ECサイトのセキュリティ事故から学ぶ!
ECサイトの利便性が高まるにつれて、サイバー攻撃の標的となるリスクも増大しています。
特に、
- 顧客の個人情報
- クレジットカード情報
といった機密性の高い情報を扱うため、セキュリティ対策はECサイト運営における最重要課題の一つです。
ここでは、ECサイトで発生しうるセキュリティ事故の種類から、その原因、そしてシステム開発の観点から講じるべき対策までを解説します。
ECサイトで実際に発生しているセキュリティ事故の種類
ECサイトを狙うサイバー攻撃は多様化しており、以下のような事故が実際に発生しています。
情報漏洩
- 顧客の氏名
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
などの個人情報。
- 購入履歴
- ID/パスワード
などが外部に流出する事故です。
最も発生件数が多く、影響範囲も広大になりがちです。
クレジットカード情報の不正利用
ECサイトから流出したクレジットカード情報が悪用されます。
不正な購入が行われる被害です。
顧客からの信頼失墜に直結します。
不正アクセス
管理者アカウントや顧客アカウントに第三者が不正にログインする行為です。
サイトの改ざんや顧客情報の窃盗、なりすまし購入などに繋がります。
サイト改ざん(Webサイト Defacement)
ECサイトの見た目やコンテンツが攻撃者によって勝手に書き換えられる被害です。
サイトの信頼性が損なわれ、顧客に誤った情報を表示してしまうリスクがあります。
サービス妨害攻撃(DDoS攻撃)
大量のアクセスを集中させることで、ECサイトをダウンさせ、サービスを利用できなくする攻撃です。
- 販売機会の損失
- 復旧コスト
が発生します。
SQLインジェクション / クロスサイトスクリプティング(XSS)
ウェブアプリケーションの脆弱性を突きます。
- データベースの不正操作
- 悪意のあるスクリプをウェブページに埋め込む
攻撃です。
情報窃盗やサイト改ざんの原因となります。
サプライチェーン攻撃
- ECサイトが利用している外部のサービス
- 導入しているプラグイン
- ライブラリ
などが攻撃されます。
それを経由してECサイト本体が被害を受ける攻撃です。
なぜECサイトは狙われるのか?主な原因
ECサイトがこれらの攻撃の標的となりやすいのは、以下のような原因が考えられます。
大量の個人情報・決済情報を保有している
攻撃者にとって非常に価値の高い情報が集約されています。
外部に公開されており、常にインターネットに接続されている
攻撃の機会が多く存在します。
システム構成が複雑化しやすい
- カート機能
- 決済連携
- 在庫管理
- 会員管理
- CMS
- 外部サービス連携
など、多岐にわたる要素で構成されるため、脆弱性が生じやすい箇所が増えます。
開発や運用の不備
脆弱性を含むコード: 開発段階でのセキュリティ設計ミスやコーディングの不備が、SQLインジェクションなどの脆弱性を生む可能性があります。
古いソフトウェアやミドルウェアの使用: 使用しているOS、ウェブサーバー、データベース、ECパッケージ、プラグインなどに未修正の脆弱性が存在する状態。
不適切な設定: サーバーやアプリケーションの設定ミスにより、外部からの不正アクセスを許してしまう。
認証・認可の不備: 弱いパスワード設定、多要素認証の未導入、管理者権限の管理不足。
入力値検証の不足: ユーザーからの入力値を適切にチェックしないことで、悪意のあるコードの実行を許す。
セキュリティ事故がECサイトにもたらす甚大な被害
万が一、セキュリティ事故が発生した場合、ECサイトは以下のような甚大な被害を被る可能性があります。
顧客からの信頼失墜とブランドイメージの低下
一度失われた信頼を取り戻すのは非常に困難であり、長期的な売上減少に繋がります。
損害賠償請求
情報漏洩などにより顧客に損害を与えた場合、多額の損害賠償請求を受ける可能性があります。
法的責任と罰金
個人情報保護法やクレジットカード業界のセキュリティ基準(PCI DSSなど)に違反した場合、行政指導や罰金が科せられる可能性があります。
事業の停止や遅延
事故対応や原因究明のために、ECサイトの運営を一時停止せざるを得なくなる場合があります。
復旧コストと対応コスト
被害状況の調査、システムの復旧、顧客へのお詫び対応、再発防止策の実施などに多大なコストが発生します。
クレジットカード会社からの信用低下・取引停止リスク
クレジットカード情報漏洩が発生した場合、カード会社からの信用を失い、決済機能を利用できなくなるリスクがあります。
セキュリティ事故を防ぐための必須対策
ECサイトのセキュリティ事故を防ぐためには、技術的な対策と運用体制の両面からのアプローチが必要です。
特に、システム開発の段階からの対策が非常に重要です。
- 開発段階からのセキュリティ対策(セキュア開発):
- 設計段階: セキュリティ要件を明確にし、リスク分析に基づいて設計を行う。
- 実装段階: 脆弱性を生まないコーディング規約の遵守、入力値の厳格な検証、適切な認証・認可処理の実装。
- テスト段階: 単体テストに加え、脆弱性スキャンや侵入テスト(ペネトレーションテスト)を実施し、潜在的な問題を洗い出す。
- ソフトウェアの最新状態維持:
- ECサイトの基盤となるOS、ウェブサーバー、データベース、プログラミング言語、ECパッケージ、そして使用している全てのプラグインやライブラリを常に最新の状態に保ち、既知の脆弱性を解消します。自動アップデート機能の活用や、定期的な脆弱性情報のチェックが重要です。
- 強固な認証・認可の実装:
- 管理者アカウントには多要素認証を必須とし、複雑で推測されにくいパスワードポリシーを設定します。顧客アカウントにも二段階認証などのオプションを提供するのが望ましいです。各ユーザーが必要最低限の権限のみを持つように設定します。
- データの暗号化:
- 顧客情報やクレジットカード情報などの機密データは、通信時(SSL/TLSによるHTTPS接続)だけでなく、データベースなどに保管する際も適切に暗号化します。
- WAF(Web Application Firewall)の導入:
- SQLインジェクションやXSSなどのウェブアプリケーションへの攻撃を検知・防御するWAFを導入します。
- 定期的なセキュリティ診断・監査:
- 専門機関による脆弱性診断やペネトレーションテストを定期的に実施し、システムの安全性を評価・改善します。
- アクセスログ監視と異常検知:
- サーバーやアプリケーションへのアクセスログを常時監視し、通常のパターンと異なる不審な動きを検知するシステムを構築します。
- インシデント発生時の対応計画策定:
- 万が一、セキュリティ事故が発生した場合を想定し、被害拡大の防止、原因究明、復旧、関係機関への報告、顧客への連絡といった一連の対応計画(CSIRTなど)を事前に策定しておきます。
セキュリティは「開発」から始まる。
ECサイトのセキュリティは、稼働させてから対策するのではなく、企画・開発の初期段階からセキュリティを設計に組み込む「セキュア開発」の考え方が不可欠です。
弊社は、システム開発の専門家として、ECサイト構築においてセキュリティを最優先事項の一つとして捉えています。
- 設計段階でのリスク分析とセキュリティ要件定義
- OWASPなどの標準に基づいたセキュアコーディングの実践
- 開発・テストフェーズでの徹底した脆弱性検査
- 最新のセキュリティ技術を考慮したインフラ設計
- 公開後の定期的なアップデートやセキュリティ監視を含む運用サポート
まで、ECサイトのライフサイクル全体を通じたセキュリティ対策をご提案・実行いたします。
表面的な対策だけでなく、システムの根幹から安全性を確保することで、お客様が安心してECサイトを運営できる環境を構築します。
ECサイトのセキュリティ事故は、ビジネスに壊滅的なダメージを与えかねない現実のリスクです。
しかし、闇雲に恐れるのではなく、その原因と対策を正しく理解し、適切な手を打つことが重要です。
セキュリティ対策は多岐にわたりますが、中でもシステムの基盤となる開発の品質が、その後の安全性を大きく左右します。
ECサイトの新規構築やリニューアルをご検討されている、あるいは既存サイトのセキュリティに不安を感じている法人様は、ぜひ一度、セキュリティ開発に知見のある弊社にご相談ください。
お客様の大切なビジネスと顧客情報を守る、堅牢なECサイト構築をサポートいたします。
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